マイ365プロジェクト「短歌としつもん」

FBで発表しています「これまでの人生の中で詠った歌や新作のオリジナル短歌365首と魔法のしつもんのコラボ」というマイプロジェクト

冬の短歌・・・マイプロジェクト365より

2018年12月

1日 法隆寺読経の声に急かされて堂を出ずれば空にも彩雲

2日 御堂筋ライトに浮かぶ銀杏の木黄金色した雨を降らすよ

3日 娘より着きしメールの添付には頬赤くして眠る子のあり

4日 ふつふつとふろふき大根炊いており湯気にくもった窓に満月

5日 田駅裏遭難すつくづくと街を歩けぬ女やと思ふ

6日 澄みわたる冬空にひとつ煌めいて見失いそな行方を照らせ

7日 大きなる冬雲おおう天(そら)のした天使の梯子いくつも下る

8日 冬空を映したビルの硝子窓ブルーグレィ溶かすクリスタルBOX

9日 電波よりささやく君の声溶かしワイングラスに揺られ眠ろう

10日 朝一の唯一無比のわがままはあと半時を寝かせてください

11日 枯らしの師走の空に泳ぎゆく鯨雲追う波雲捷し

12日 イエスタディワンスモアもうあの日には帰れないこと今は知ってる

13日 軽やかにミシンを刻む昼下り綾なす思い縫い込めていく

14日 よく生きることはシンプルに生きることうっかり忘れる日々の複雑

15日 金色のいちょうに銀の薄日さし燻されたよな和泉野になる

16日 仕事から追われることもよしとしよういずれ時間は余まる日が来る

17日 挨拶は「寒くなったね」が定番に真冬へ向かう雲流れゆく

18日 酒に酔い人の情に酔いしれて目覚めし後も倦怠に酔う

19日 電波とうあやしき糸の切れし夜は伝え切れずに言葉は迷子

20日 師走きてATM前の長き列声を荒げるあんたが煩い

21日 時きざむ時計の音と枯れ葉舞う音を聞いてる夜半に目覚めて

22日 澄みわたる冬空にひとつ煌めいて見失いそな行方を照らせ

23日 師走の夜仕事片付け君のもとへ今日の二人はどこまで行くの

24日 オフィス街ぶらり歩けば洒落た店パスタとワインでメリークリスマス

25日 冬という実感のわかぬ師走きてそれでも今朝は吐く息白し

26日 後ひとつ残ったカレンダー〇印会って笑ってまた終わらせていく

27日 散りしきる銀杏はきよせ戯れに黄色きハートを路上に描く

28日 定めなき自由気ままな旅まくら暮の寒波を予報官告ぐ

29日 幾千が笑う波動に驚かずやがて眠りし子に幸あらん

30日 さくさくと仕事片付け暮の街友との年を納めに行こう

31日 一年をあれこれ語ればお互いに思いがけなき縁とぞ思う 

 

2019年1月

1日 くもりなき初春の空拡がりぬあまねく届け感謝の思い

2日 新年の始めに心掛け直す自分への誓い見失うなく

3日 年賀状友らの言葉「無理するな」異口同音に書きくれてあり

4日 静かなる夜更けにエッセイ読んでいる明日に繋がる言葉探して

5日 冬雲が流るを見れば身のうちにポルシカポーレの歌声響く

6日 人と逢い人と別れて帰る道冬の星座はキラメキこぼす

7日 誠実に優しきままに純粋に歳を重ねて生きむと思ふ

8日 世の中に財はなくてもできること笑顔絶やさずただ聴けばいい

9日 エンドロール果ててもすぐに動けない取り返せない絶唱ラプソディ

10日 守り札どんどに焼べる宵えびす御神酒いただき繁盛祈願

11日 悠然と都の鳥は旋回す飽かず眺めて君を待ちおり

12日 水鳥の川面に遊ぶを見詰めいる二人に流れる優しき時間

13日 黒部から出る水にて醸された美酒に酔わされ雪山思う

14日 若き折りに輝きおりしも歳重ね燻さるるもよし同級生は

15日 ほっこりとしたく紅茶にたっぷりのミルク砂糖で飲む昼下がり

16日 書店にて新刊文庫購入す今年こそ読まん目標冊数を

17日 人ひとり日々の苦などはあまりにも小さきものぞ今日震災忌

18日 頬杖をついてパソコン向かいおり三十一文字の解けないパズル

19日 新雪を踏みしめ登ればみ空より雪のダストはきらめきて降る

20日 ファンヒーターまず点火してぽつねんと目覚めるまでの空(くう)を愉しむ

21日 京都より帰る車窓の西空に朱き炎の冬陽は落ちぬ

22日 黙ってる解らないから聞いてみた尚解らない何がしたいの

23日 車中にてメールする人仕事する人吾は歌を詠める人なり

24日  缶ビールと缶チューハイを呑むだけで酔ってたまゆら愉しき人生

25日 薄暗き駅に電車を待つ君を風に託そういってらっしゃいと

26日 水鳥の川面に遊ぶを見詰めいる二人に流れる優しき時間

27日 己がカラー捨てずに何処までいけるのか岐路に揺らぎし日々にしありて

28日 シクラメン彩り競うその中に白きが故に輝くもあり

29日 山焼きのシャッターチャンスひたすらに待ちて寡黙な寒風の中

30日 化粧して白き北山一目見て三条大橋河原歩めり

31日 忙しき日々に埋もれて水仙の一月尽の花咲くを見ず

 

2月

1日 くるくると空に大きな万華鏡彩に移ろう人の世のごと 

2日 美ら海の碧に浄化と再生を求めて渡る旅人とな 

3日 部屋からは港の夕陽が一流のホテルその名はイーストチャイナシー  

4日 災いの多かりし年あらたまり立春の朝寒さやわらぐ

5日 日輪の中緩々と友は駈るざわわと広きサトウキビ畑

6日 多弁なる神宿りしかイリオモテ樹々からさえも諭されており

7日 小径にて迷えば揚羽現れて星砂浜へ導きていく

8日 どんな「実」を結ぶことやら「現実」は所詮は「無実」「不実」「誠実」

9日 堂の裡逢いたき人は幾万の千手観音の中に居ませり

10日 苛々と心病めるは生野菜不足かサラダムシャムシャ食みており

11日 酔いごちて曇りなく浮く望月に心照らされ仰ぎつ帰る

12日 シャーペットの雨降る朝は冷えた指君の手の平で溶ける感覚

13日 事務室の机の上に梅一輪知らせてくれる春のふくらみ

14日 笹にわたる風にまじりし若きらのざわめき聞きおり苔むす庭に

15日 浅き春ガラシャの墓に寄り咲くは雪中椿の残り花とう

16日 名ばかりの春とはいえど日脚延ぶ仕事終えたり明るきうちに

17日 如月の雨に打たれて擡(もた)げくる物憂き感覚封じる感情

18日 撫子とストックの苗買ってきた春を迎えに行くのもいいかな

19日 二日続き茶柱たてりよきことの予兆のごとく冬日きらめく

20日 華のなき庭に一輪冬薔薇うす紫の早春のかおり 

21日 まさかねえ春一番だなんてねえ春のきざしはゆっくりがいい

22日 足元の明るさにふと振り仰ぐ冬空晴れて満天の星

23日 ゆるゆると流れに掉さし柳川を運河を遡る二人は旅人

24日 少しだけ日差しの伸びる如月におんな一人の旅もいいかと

25日 函館の空に凍て月皓々と雪積む街を照らす哀愁

26日 プリムラの小さき花弁咲き揃い冬空の蒼を引き寄せており

27日 露天風呂根雪に土の匂いすを春の萌しと地の人は言う

28日  散り狂う山茶花拾い手にとれば恋のかよい路渡る浮き橋

 

 

 

 

 

 

 

秋の短歌・・・マイプロジェクト365より

2019年9月

1日 上質の煎茶を茶碗に六分目たしなみあれば足るを知るとや

2日 睡魔よりもういいじゃないと誘われて無駄な抵抗気付いたら朝

3日 吾癒す‘優しさ’そして‘懸命さ’女ばかりの‘居心地のよさ’

4日 たまゆらの旅情を胸に刻まんと窓辺に寄れば渓流碧し

5日 秋雲と夏雲ともに空にあり飛行機雲はあわい分けゆく

6日 夢だけを追いかけていたひたすらに君と二人の夏が過ぎ行く

7日 未来への悲観と過去の後悔と現在の不安どう生くべきや

8日 蝉しぐれ夏も終わりと燃えていく人生なんだと一人ごちてる

9日 からすうりそんな名前の古書店で残暑に語るそれぞれの本

10日 ここちよき秋色の風吹きたれば霧の草原さざなみたてり

11日 満員の電車に一つ空席がまだ残されし譲り合う心

12日 退けている足を踏み出す勇気なら自分信じる他にはあらず

13日 切りますか?鏡の中の美容師にハイとは言えずに吾が顔見つむる

14日 眠らんと明かりを消したそのあとも明々燈る十五夜の月

15日 芝居跳ね都の道の果てしなく月の明かりは蒼々と冴ゆ

16日 久々に野に出て赤き萬珠沙華今日敬老の日に親はなく

17日 移りゆく季節を一つ越えて知る君への想い変わらないこと

18日 さっぱりと髪整えて気分変え残暑の中を君ら行くらむ

19日 彼岸へと届かぬ思い延々と曼珠沙華咲く終わらない道

20日 教えたり教えられたり生きてきし場所は違えど世は面白い

21日 亜熱帯となるかこの国長月の二十日(はつか)過ぎても炎暑は去らず

22日 秋桜の咲きいし道を寄り道す通勤途上朝のエスケープ 

23日 吾の知る人すべて遠く感じる日望みある人も望みなき人も

24日 長月の風はAKIIROうろこ雲空の青さも和らぎ始む 

25日 嵐さり天空に散る微粉子の光にいよよ秋始まりぬ 

26日 背をのばし自転車こいでいく朝の過ぎゆく風も秋の気配す

27日 肉体の脆さ秘めつつ日々生きる笑顔よき君に季節よ廻れ 

28日 うろこ雲空いっぱいに拡がりて秋の心は愁いと気付く

29日 天体の軌道はずれし流れ星今宵限りの満天飛行  

30日 わが寝間に薫り線香炊きおれば仏の許に寝し夢みし

 

2019年10月

1日 人生はクレッシェンドと説きし人身振り手振りもだんだん強く

2日 一面のコスモス揺れてペダル漕ぐ足はふわりと風に乗りゆく

3日 秋求め山さすらいて残り花竜胆蒼し陽射しに映えて

4日 寂しさと向き合っている風の朝こぼれる思いに戸惑っておりぬ

5日 流星に誘われ夜の高原で星座アプリで探しものする

6日 リタイアをまた先送るりんりんと夕日の果てへ道続きゆく

7日 賢しさと熱き血潮を見据えてはたじろいており晶子にはなれぬ 

8日 いい男可愛げがあってほどよくてそんな人なら惚れぬいていた

9日 定年はゴールとはならず働いてその後も続く100年人生

10日 たまさかの縁に咲くを愛おしむ二輪ずつなる十月桜

11日 草原を風に向かって渉るときナウシカのごと顔上げていく

12日 語り合うたまゆらのとき過ぎゆきて夢去りし後も永遠のたまゆら

2018年10月

13日 スイスイとつかず離れず赤とんぼやっと秋めく長月半ば

14日 秋映とうりんごの濃きを買いきては夜中見つめる寂しいからね

15日 湾岸を染めて遥かな茜雲キラを残して飛行機は行く

16日 朝風に身を委ね漕ぐ自転車のカゴでプルルンメールが届く

17日 何もかも包めるような器ではなかったと気づく秋の始まり

18日 今日逢えるかも突然に朝のメール少し慌ててるコスモスの道

19日 つかぬよに離れぬようにただそっと君へと届く風になりたい

20日 自転車で月まで漕いで帰ります吾はほろ酔いかぐや姫かな

21日 運動会幼らの振る渾身の旗に追われて赤とんぼ舞う

22日 友が住む町の駅にて降り佇てば耳にやさしき北陸訛り

23日 ヘシコ焼く朝餉の臭い流れきて金沢近郷わがノルタルジィ

24日 転生のたびに必ず繰り返す優しき出会い哀しき別れ

25日 スカイブルー絵の具のような穹の下失なったもの埋め合わせていく

26日 ぽつぽつと点だけで描く絵のようにアスファルトの上に降り出した雨

27日 睡魔よりもういいじゃないと誘われて無駄な抵抗気付いたら朝

28日 会うたびに愚痴こぼすのはもうやめて君にあげようとびきりの笑顔

29日 透明に生きられざるか女坂高み遥かに続く山並

30日 振り仰ぐ空一面に巻雲がキャンバス狭しと刷き拡がりぬ

31日 アルファ波じわりあふれるご機嫌の君の声聞き一息入れる

 

11月

1日 残業の子どもらのため煮るカレー鍋はコトコト鳴りて待ちおり

2日 勤め終え夜の講義に急ぐ頃街は吐き出す人の行列 

3日 山路を遥々越えた山宿の湯気の向こうに揺れるもみじ葉

4日 雨の日はダージリンティにジャムを混ぜシャンソン聴いてじっとしていたい

5日 見上げれば梢は彩に織りなしてブナの林は木漏れ日の美し

6日 人は人の寂しさを負う秋空にぽっかり浮かぶ雲を見ており

7日 父母の眠りし大和うるわしくススキは秋の陽をこぼしいる  

8日 踏み入れてしまえば容易(たやす)く抜けられぬ人の心に荒野がありぬ

9日 秋映とう林檎買いきて紅(くれない)の深きが故になどか哀しき

10日 血糖値あげんと夜に食む林檎瑞けく甘き血となり流る

11日 法隆寺読経の声に急かされて堂を出ずれば空にも彩雲

12日 夕焼けを追いかけ海へ車駆るカーペンターズのCD聴きつつ

13日 帰宅してポストに喪中の知らせあり団塊世代吾の霜月

14日 重き荷を下ろすも哀しわが友よ永き介護をただ労いおり

15日 紙を漉きて高きに拡げしか雲天いよよ秋深まりぬ

16日 誠実に働くことを損失と思いはせねど空しき日のあり

17日 秋霖にしとど打たれて街路樹の木の葉急いで黄金となる

18日 霜月にありにし朝の化粧(けはい)どき着てゆく服を惑う習いに

19日 ボージョレの紅きはたぎる血潮なり熱き想いを含みて知るや

20日 銀色の秋の光にひったりと濡れて寡黙な昼休みとる

21日 「大丈夫?」言葉の持ってる暖かさ気付けたことはあなたのおかげ

22日 パソコンに向かいし席まで染めてくる赤き日輪を窓に見ている

23日 秋の陽は真っ赤に燃えて注ぎきてその名つぶやくだけの純真

24日 新しきスケジュール帳買いきては予定書き込むだけで嬉しき

25日 早々に今年最初の忘年会ひと月かけて歳忘れゆく

26日 美しき人は夕陽を身に浴びてやさしく歩むその細き道

27日 ボールペン買いて失いまた買えり鉛色した空しか見えない

28日 逡巡しそれでもやっと電話して沈黙恐くてすぐにさよなら

29日 コンクリート隅にたゆたう日だまりにはらり舞い散る落ち葉見ており

30日 銀行の窓口の飾りも新たまりポインセチアと柊となる

 

春の短歌・・・マイプロジェクト365より

2019年3月

1日 沈丁花霞かな香り漂いぬ止まる間もなき暮らしにありて

2日 久々に方代歌集開けたり君覚うるや放浪歌人

3日 春の雨避けて入りし甘味処雛は由しく飾られておりぬ

4日 映画観たその夜の夢は最果ての見知らぬ海を舟で漂う

5日 かなしみは人の心の夜叉ならむ荒野にひとり佇むばかり

6日 真実は雨に打たれて怨むごとハナニラはひそかに咲けり

7日 出勤の朝の出がけの足留める薄むらさきの豌豆の花 

8日 吾が頭悪さを憂しと思う日は書店の本を端から読みたし

9日 気がつけば吾やわらかに眠りたり旅の疲れを「ひかり」は乗せて

10日 いもうとは受け入れていると言い放つ笑顔よきまま季節よ廻れ

11日 生きること切なき故に愛しいと思ふ今日は震災八回忌

12日 無私となり大切な人守れるや我が十字架は解けることなく

13日 古都の夜を焦がして走る大松明あれより火車は吾が身にありぬ

14日 季は移り修二会の春は巡りきて夜空を焦がす火の粉思えり 

15日 夕ざれば数字かすめどやらなけらゃ終わることなき決算業務

16日 俯かず真っ直ぐ歩けば日溜まりの中で微笑む君に会えるや

17日 この頃のやりきれなさを持て余し春雷響く窓際に寄る

18日 彼岸西風(ひがんにし)くぐれば春のただ中か吹き荒らぶれて出勤急ぐ

19日 くもりなき弥生の空は拡がりぬ君に届けよ感謝の思い

20日 年度替えシュレッダーする書類には見覚えのある筆の跡あり

21日  まったりと春の気配の立ち上がる朝は焦げ気味トーストに紅茶を

22日 大蒜と五種類のルーでカレー炊き満たされているそんな日もありき

23日 ダイアリーに走り書きあり将来から見たなら今が一番若いと

24日 パンクした自転車曳いてる朝の道ついてないけどまだ雨は降ってない

25日 目を細めひかり縞なす朝を行くうらら春風受け止めながら

26日 交差点歩幅を広く歩き行く運も不運も心のままに

27日 海沿いに走るローカル線の旅急行待ちする菜の花の駅

28日 悔いなしと清々しくも言い放つ吾が慕いし人は定年迎う

29日 春色のセータールージュパンプスで君に逢いたしああ春よ春

30日 君も吾もさびしい駅に時々は来て眠るなり空壜のように

31日 君と会う今日暖かしこんな日は桜色したコートに着替えて

 

4月

1日 入社式テレビ報道に映さるる若きらに思う今日よりは跳べと

2日 陽にとける桜並木の下通るうす青く見ゆ白きブラウス

3日 照り翳る空にあやうく紛れむか桜はすでに淡きさくら色

4日 花見する桟敷に並ぶ重箱に小芋の煮付けが輝いており

5日 露天風呂夜桜あかりにほんのりと吾のからだの輝くを見る

6日 花曇る朝の光の中をいくばば孫旅のローカル電車

7日 こでまりを手折りて挿せばそこだけに春の光は眩ゆく照りぬ

8日 吹き募る風に捲かれて舞い上がる妖精のごとき淡き花びら

9日 風のいろ花の動きのやわらかく今目の前を散りゆくさくら

10日 大切なものを忘れてきたような桜に青葉混ざる頃なり

11日 夢のよにぽわんぽわんと揺れる紅(こう)綺羅を散らせて魂を呼ぶ

12日 それ以上言わない人となにもかも聞きたい私散りゆくさくら

13日 みずからの命ふるわせ散り急ぐさくらくらくらその彩哀し

14日 桜から葉桜までのつかの間を逃すまいとて追いつかぬ日々

15日 桜色染まる街路を見つめつつ無口になりぬ雨降りやまず

16日 桜への未練たっぷり毎年の習いとなりし花追いかけっこ

17日 咲きて散る桜のごとき出会いなり異国の子らのディテール忘れず

18日 この国は礼重き人住みたるやとつくにの人に学びておりぬ

19日 人生の景色移れどほろ苦き居場所はいつもこの四畳半

20日 早足で移ろう季節ただ中で取り残されてハナミズキ満つ

21日 有終を飾るがごとく桜散れかささぎの橋となると決めた日

22日 春風に誘われて出る昼休み花屋と本屋のいつものコース

23日 平成に生まれし子らの哀しみは平和の御代に平和を知らず

24日 妖精の羽かカタクリ咲く谷にやはり戻ろう日だまり求め

25日 青嵐吹き抜ける森逍遥すショウジョウバカマ彩に咲きけり

26日 凛として媚びず健気でけがれなき山の桜を吾は愛しむ

27日 新緑の山は4月のファンタジィーさやけき音を奏でる楽器

28日 若葉風抜け行く駅のカフェテラスランチ待つ間にゆるり本読む

29日 若葉雨物憂き午後をパソコンに向かいて聴けるドリームカムツルー

30日 よく生きることはシンプルに生きることうっかり忘れる日々の複雑

 

 

5月

1日 ひと仕事終えて一息ジャズを聴く夢とライブを行きつ戻りつ

2日 つわ蕗をむけば春の香かつんつんす小さきゆうちゃん現れる宵

3日 若葉より漂う香りすくいあげ朝のペダルは軽やかなリズム

4日 パソコンの待受画面変えてみたツツジ青葉と春を競えり

5日 読みかけし青春の日の物語残りのページを気にしつつ読む

6日 駅まではミストシャワーの雨の中細胞深部へ潤いていく

7日 喘ぎつつ自転車漕げば坂道を燕はすいと追い越していく

8日 追わるよに仕事あるのもよしとせんいずれ時間も余まる日は来る

9日 みずみずと緑さやけき南禅寺記憶はやがて光はじめぬ

10日 パラソルで陽射しを避けていく吾に纏わるように揚羽蝶舞う

11日 地上の星ハナニラの花が庭の隅ひっそりと咲く小さな宇宙

12日 人間とはどうしてこうも優しいのか一杯のコーヒー味わいて飲む

13日 理不尽と思われること四つありき耐えて勤めし吾を誉めよう

14日 青空にスポーツクラブオープンの幟はためく工場跡地に

15日 ふつふつとオタフク豆を塩茹です万緑の里厨に拡がる

16日 初夏に向かう風を追い越し東へと列車は走る君を乗せて

17日 つめくさのコンクリートより咲けるのを日盛りに佇ちて愛しく見つ

18日 天界の扉開かるウエサク祭鞍馬の東満月は輝る

19日 人生はだましだましでいきましょかいつかは終わるしゃあないもんね

20日 この道を選んで今朝も歩いてる淡きピンクの薔薇薫る五月

21日 真実を測りあぐねし朝の時嘘つくことも愛のうちかと

22日 照るでなく曇るでもないブルーグレィ風よ運べよ翠(みどり)の五月

23日 そのうちに何とかなるで生きてきてそろそろやらねばタイムオーバーせり

24日 たまゆらのライトに浮かぶ横顔をそっと見ている深夜の車中

25日 目を閉じて詩語り聴けばエクランに収まりし玉ひそと輝く

26日 絵心も歌の心も誘われて吾は皐月の空に遊びし

27日 はつなつの空を見上げて溜め息す受信メロディ変えてみようか

28日 みどり雨比叡の里の山門に額絵のごとく琵琶湖収まる

29日 夏ものの学生服から出た腕の寒そに見えて日照雨(そばえ)降るなり

30日 恋しかる九重の山に幾たびぞミヤマキリシマ山萠ゆるらし

31日 走り梅雨油古びしキャンバスの臭いこもりて筆置きし頃

 

夏の短歌・・・マイプロジェクト365より

2019年6月

1日 夏近し新茶の香りの青々とサワーなる味わいひと時憩う

2日 君想う心静かに変わりゆく紫陽花の花よりもやさしく

3日 好きという気持ち遥かに拡がりて吾の本音は青葉に溶ける

4日 沈む陽と昇る月とのすれ違う世に生き君に逢うは運命か

5日 きゅるるりと水茄子割けば紫に染まる指先また夏は来ぬ

6日 電車にてリクルートスーツの一団と乗りあわす午後少しけだるく

7日 寂しさをやさしく溶かす物語り二人の距離を運びし小舟

8日 哀しみをやさしさにするコツを知る静かに明ける初夏(はつなつ)の朝

9日 私をやさしくする人一人いて哀しくさせる紫陽花の雨

10日 雨の降る真近かの空の昼下がりパステルカラーに私は変わる

11日 夕闇に恋する蛍飛び交いて想いはかなき水無月の寺

12日 誰がためにサムライウーマンという名のトワレ香らせて行く梅雨最中

13日 日々IFを問うを愚となし夢も見ず生くるに少し若くてありぬ

14日 偽りを人の為と書き人の夢を儚いと読む真理なるかな

15日 通学の子らが寄り合う傘の列雨に騒げる紫陽花に似て

16日 吾もまた宇宙(そら)より降りし旅人とたまゆらの命であらば角も曲がらん

17日 幾人も人と出会いて帰る道信号待てばつばくらめ飛ぶ

18日 若きらの声を聞きつつ講義終え坂を下れば紫陽花は笑む

19日 夏めきし陽射しを避けて路地裏に咲きて涼しきどくだみの花

20日 見事なる南高梅の実を漬けて母を思えり深夜の厨

21日 城崎は何をくよくよ川端柳竜馬も同じ湯に浸かりしか

22日 空に星地上に蛍追いかけてまほろばの野を迷い彷徨う

23日 同級生の訃報は夜空を駆けぬけて歎き尽きせぬ一年五組

24日 紫陽花の移ろうごとき人の身を淋しくなきかと日暮れ問いおる

25日 青空に入道雲は真白にてこんな夏には嘘はつけない

26日 それぞれに重荷背負いて生きる身ぞ励ましあいて生きるよりなし

27日 ボーッとする時間もないとあかんよと諭されておりぬずっと年下に

28日 ほとほとと夕べさみしく佇めば夥しくもりょうぜん花落つ

29日 雨近しどくだみ草は香り立つ染料臭立つ工場の隅

30日 人亡くす哀しみに増すことありや団塊世代吾の水無月

 

7月

1日 雷鳴に清しきものの胸に湧き雨中を駆ける衝動となる

2日 雨粒の混じりし風のねっとりと髪に纏わり鬱々と梅雨

3日 酔眼で見上げる夜空に輝くは少し欠けたる橙の月

4日 降るのかな晴雨兼用傘さしてどっちつかずの雨と心中

5日 北の天心星ひとつ目当てにてこの世の迷路旅を続ける

6日 またやってしまった私の空回り君は笑うけど会わす顔なし

7日 天の川七夕の夢に現れし綺羅星ふたつ父母の星

8日 辻つじに囃子の音を聞きながらそぞろ歩けばわがノルタルジィ

9日 起きること全てに意味があることを知らずに過ごす時間の狭間

10日 北で飲むコーヒーの香りの馥郁とあまやかに濃く満ち充りていく

11日 月光をひたひた浴びて川の辺に蛍を追いし北の宿なり

12日 ふらり旅引き寄せられて佇むは北のまほろば奇蹟の遺跡

13日 意のままにならぬ魂の容器なる脆き現身(うつしみ)吾にもありき

14日 言ったよな言わないような寂しさをかみしめ歩く今日も雨降り

15日 さるすべりうす紅雨に濡れながら妥協すること娘に説きおり

16日 決断は保留のままの自己矛盾紫に染まる残業の部屋

17日 携帯を通し聞こえし蝉の声都会の街路樹住み易すかりや

18日 雨だから肩よせ歩ける傘の中半径50の二人の世界

19日 繁華街の古きバーにてカクテルを飲みて語りし嘘と本当

20日 朝餉前時を惜しみて逍遥す川は流れて問うこともなく

21日 愛すれど菩薩のごとくもほどほどに我が名哀しき普通の女

22日 夏休み入れどリュックを肩に負いて幼なは通う留守学級に

23日 出会いても一期一会と散る花か留学生に和を伝えおり 

24日 雨上がり眩しさに目を細めつつ見上げる空に笑う向日葵

25日 梅雨去りて夏雲湧くを見上ぐればそぞろ恋しき稜線の風

26日 夏盛り茄子に胡瓜にゴーヤもやし野菜ばかりが並ぶ食卓

27日 繰り返し木槿は開き累々と花を落として夏を越えゆく

28日 ひと時を包まれいたり深々と横で眠りし幼き寝顔

29日 異文化であれば浴衣を着てはしゃぐ若きら真夏の日輪の中

30日 母逝きて夢にも逢わず夏盛りノウゼンカズラ散りしきるなり

31日 パラソルを透せし炎暑逃げ来れば路地に玉響風の吹き過ぐ

 

8月

1日 夏バテを乗り切る昼餉の定番は水なす漬と冷たいソーメン

2日 夏空に湧きたつ雲よ青き峯よ吾を呼ばしむここに還れと

3日 散りゆける花火よ笑えわが裡の優柔不断意志薄弱

4日 暑かった一日の終わり鋭角に熱演保ち陽が落ちていく

5日 天涯に清らに咲ける花のあり君に見せたきキレンゲショウマ

6日 絶え間なく哀しみのうちに生きるとも命あればの今日原爆記

7日 身うちより旅への憧れ湧き出づるゆくえ定めぬ夏雲の峰

8日 苦があれば楽きっとあり我が登る道にはきっと花が微笑む

9日 真夏日の道にくっきり記されし影を揺らして鐘の音は響く

10日 ヒマワリとブーゲンビリアにハイビスカス真夏真昼の三重奏かな

11日 山靴に伝わる大地踏みしめて朝明間近に吾出発す

12日 励まして生きん思いを深く持ち流れる星を独り眺むる

13日 吾愛し母の愛した白山の弥陀ケ原いま花の楽園

14日 信仰の山に咲きいしイワギキョウ紫ゆかし雲上に冴ゆ

15日 クロユリは室堂下部に群れ咲くと母言いおりしそに佇みており

16日 喘ぎつつ見上げる吾を驚かすクルマユリ朱く群れて咲きおり

17日 盆明けのけだるき身内励まして仕事の山を片付けていく

18日 踏み入りて容易くは抜けられぬ人の心の荒野に触れて

19日 願うほど責めては余る思いあり言葉は無力越えられぬ壁

20日 わが望みそこにあるのに掴めない「たら」「れば」ばかり繰り返す

21日 すぐ答出したい性を直さなきゃ思う後から追求してる

22日 捨てきれぬ一縷の望み追いかけてなお離れてく夢と現実

23日 つかぬよに離れぬようにただそっと君へと届く風になりたい

24日 仰ぎ見る今宵の月のよそよそし足元ばかり気にせしひと日

25日 君からは離れることのできぬまま梓川より穂高を仰ぐ

26日 上高地幾度通いし山の道風の声聴き森の声聴く

27日 稟として透きて清らな梓川わが哀しみは無心なる蒼

28日 湧き上がる雲の白さよ蒼空よ穂高の峰よ立ち去り難し

29日 暗闇に迷いし五十路の青嵐に吹かれて山に登り続ける

30日 君に逢い得た喜びの数ほどに街に溢れる光の洪水

31日 本すらも読まず余裕のなき日々と書店で気付く夏も過ぎ行く

 

 

私の365プロ「日々の短歌と魔法のしつもん」365/365

語り合うたまゆらのとき過ぎゆきて夢去りし後も永遠のたまゆら

 

 ついに365にゴールしました。

 

令和元年(2019)10.12

私の365プロ「日々の短歌と魔法のしつもん」365/365

(これまでの人生の中で詠った歌や最新作などオリジナル短歌365首と魔法のしつもん365をFBで発表するというマイプロジェクト)

たまゆら(玉響)とは
勾玉同士が触れ合ってたてる微かな音のこと
ほんのしばらくの間、一瞬のこと。
あるいは「かすか」を意味する古語で
草などに露の置く様とも 

1年といえども
たまゆら
それはほんのひと時であったかもしれません。

そして
そのあとも
永遠にたまゆらは続きます。

今日は
日本がかつて経験したことのない
大型台風が直撃します。

命より大切なものはありません。

自然と折り合うしかないのかもしれません。

どうか被害が最小で済みますように。

 今日の魔法のしつもん
Q:あなたの最後のゴールは何ですか?

日本百名山100番目 屋久島 宮之浦岳 1936m

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私の365プロ「日々の短歌と魔法のしつもん」364/365

草原を風に向かって渉るときナウシカのごと顔上げていく

 

令和元年(2019)10.11

私の365プロ「日々の短歌と魔法のしつもん」364/365

(これまでの人生の中で詠った歌や最新作などオリジナル短歌365首と魔法のしつもん365をFBで発表するというマイプロジェクト)

 ついにかカウントダウン明日で最終365

20年前から少しづつ書き溜めていた
短歌を、見直すいい機会になりました。

これまで、これだけ詠えたのに
今は詠えていないなと・・・。

この後は
あらためて
自由に、もっと自由に
歌っていきたいと思っています。

きょうは
これまでに詠った中での一番のお気に入りを!

 今日の魔法のしつもん
Q:人としてどうありたいですか?

 

日本百名山001番目 北海道 1719m 47年前

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私の365プロ「日々の短歌と魔法のしつもん」363/365

たまさかの縁に咲くを愛おしむ二輪ずつなる十月桜

 

令和元年(2019)10.10

私の365プロ「日々の短歌と魔法のしつもん」363/365

(これまでの人生の中で詠った歌や最新作などオリジナル短歌365首と魔法のしつもん365をFBで発表するというマイプロジェクト)

 カウントダウン
364.365

これを片付けたら
次はこれ!

気が付いたら
赤いソファーでうたたねをしていた。

10年前
ゆっくりと休んでほしいと
定年と還暦祝いに
子供たちからプレゼントされた赤いソファーは
いつも物置になっていた。

陽の当たるリビングで
10年で色あせてオレンジ?レンガ色になっている。

開け放った窓から
風が入ってきて涼しい。

調子に乗って寝ていたら
風邪ひいたらしい・・・

やってみたかった昼寝人生
慣れないことしたらあかんね~

 今日の魔法のしつもん
Q:あなたがどんなジャンルの本を書いたとしても、必ず買って読んでくれる人は誰ですか?

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