マイ365プロジェクト「短歌としつもん」

FBで発表しています「これまでの人生の中で詠った歌や新作のオリジナル短歌365首と魔法のしつもんのコラボ」というマイプロジェクト

櫻追いかけて

4月4日  桜雨煙る母校をたずねては吾は時空をしばし旅する
    花見する桟敷に並ぶ重箱に小芋の煮付けが輝いており
4月9日  散り花はくるりくるりと渦となり吾が足元にまとわりつけり
    大切なものを忘れてきたような桜に青葉混ざる頃なり
4月14日 吹き募る風に捲かれて舞い上がる妖精のごとき淡き花びら
    花屑は春の疾風に消え去りぬひた葉桜へ移り急ぐ日
    たらたらと桜への想い書き募り日記の空白を埋める作業す
 
4月4日 母校なる吾が青春の庭に咲く桜開けよ今いっせいに
4月5日 花季(はなどき)を迷いし日々の寒暖かライトコートの裾なびかせ歩む
4月8日 照り翳る空にあやうく紛れむか桜はすでに淡きさくら色
陽にとける桜並木の下通るうす青く見ゆ白きブラウス
4月11日 風のいろ花の動きのやわらかく今目の前を散りゆくさくら
4月12日 満開の桜を散らす雨よりも二人を隔てる世間が口惜し
4月13日 みずからの命ふるわせ散り急ぐさくらくらくらその彩(いろ)哀し
4月14日 四月なむめくるめくよな花の月 身は深々と春陽の中に
4月15日 造幣局通り抜け 夢のよにぽわんぽわんと揺れる紅(こう)綺羅を散らせて魂を呼ぶ
4月18日 春爛漫花花は満ち空も満つ のどかならざるは吾が今日明日
4月19日 不器用に人を愛した季節でも 様々なこと教えくれたり
 
 
4月6日 桜雨気になるメールの内容は聞きやるべきや聞かざるべきや
4月10日 満開のお堀の桜震わせてだんじり囃子高々鳴れり
4月11日 わが愛は桜吹雪のごとくあれ一瞬の夢清(さや)に包まん
4月12日 咲けば散る理(ことわり)なれど春嵐吾を癒さず花は散りぬる
4月13日 ひとひらの桜花びら君に降るその瞬間に何思えるや
4月14日 花を愛で季節を一つ越えるとき唯一の願い君と共にと
4月17日 葉桜の下に佇み大きなる溜め息漏らす春や行くやと
雪洞に夜桜は浮かびきて風にたゆたう夢かうつつか
4月18日 それ以上言わない人となにもかも聞きたい私散りゆくさくら
4月19日 そよ風は名残の花を惜しむよに優しき春を謳うがごとく
陽に向かい皆春謳う花たちよ心届けよあの人癒せ
4月21日 散りつもる花びら巻き上げ吹く風の渦に佇み桜にそまる
 
 
4月3日 桜(はな)咲けば想わざる日はなかりせむ君とその下歩けるのかと
4月4日 はらはらと過ぎ行く春を惜しむよに氷室のさくら今散りてゆく
雨上がり花の灯かりに浮見堂ほんのり浮かぶ古都の夕暮れ
4月5日 たまゆらの春を惜しみて宵桜京から奈良へと追いてさ迷う
宵桜綺麗やねうんきれいやな闇にとけこむ春はひととき
4月9日 散る花はあわれこの世の幻かわきいずるごとき春の悲しみ
4月10日 咲きて散る桜のごとき出会いなり異国の子らのディテール忘れず
 4月11日 朝霧はゆるゆる晴れて湯宿あり光り眩しき露天風呂かな
散るからに美しいのだ…そのままに枯れるは汚しと言いし君あり
4月13日 春嵐に積もることなき淡雪のそよりはかなき桜ふぶけり
桜散る春の嵐に佇ちすくむ人世のあわれ降り注ぐなり
 4月16日 葉ざくらにおぼろの雨は降りかかりため息一つ花冷えの頃
 4月17日 疲れたる身に鞭打って学びたる日々蘇る君のメールに
 4月18日 なにゆえにはらり落ちくるうす紅の名残りひとひら愛しく思ゆ
 
花便り聞けばそぞろに焦りおり君との春を逃しはせぬかと
花冷えにコートの無きを悔やみいし風に抗ふ自転車の朝
花曇る朝の光の中をいく通学バスに揺られておりぬ
別れるも出会うも桜ふりゆけば淡き縁(えにし)に一期と燃ゆる
散る故に花美しく人とても砂上の命春の夜の夢
ひとひらの薄くれないにふりゆけば人を恋うとてもの哀しけれ
桜色染まる街路を見つめつつ無口になりぬ雨降りやまず
桜から葉桜までのつかの間を逃すまいとて追いつかぬ日々
花曇り窓より見ゆる白き空曖昧な気分果てなく続く
早足で移ろう季節ただ中で取り残されてハナミズキ満つ
美しき桜も散れば塵となり道に埋むを疼き見ており
この春の最後の桜に逢い見んと休みになれば山に登らん
桜への未練たっぷり毎年の習いとなりし花追いかけっこ