マイ365プロジェクト「短歌としつもん」

FBで発表しています「これまでの人生の中で詠った歌や新作のオリジナル短歌365首と魔法のしつもんのコラボ」というマイプロジェクト

2月の番外短歌

浅学のつたなき礼を伝えつつ一期一会を最後に語る

ふわふわとやがてしんしんと空からの便り届けり早春の庭

春陽めくかと思いきやみぞれ雪降らす気まぐれ風邪の予防す!

アコーディオン音色は軽ろく如月の夜の静寂に溶けて流るる

灯火なき家に帰りて家事をするバレンタインで娘らは浮きたり

良き人と今日逢わんとす新しきコートは地味かとしばし迷いぬ

もう何も言わないでいて穏やかな君の寝息を聴きつ眠らん

朝霧の晴れて青空拡がれり春かと紛う陽の暖かさ

コート脱ぎて自転車駆るは尚早にて首をすくめる春まだ浅き

春の雨避けて入りし甘味処雛は由しく飾られておりぬ

早春の京の町屋で茶をたてる異国の娘らは瞳を輝かせて

二年(ふたとせ)を長きと思うや短きや過去は流れて想いは残る

君が問う道が好きかといまさらに何故かさありと気付く吾あり

ストレスを溶かしきれない日々にありて君の言葉に揺れて眠りぬ

向かい風あらがいゆけば忽ちに体温感覚奪われていく

北極より寒波来たりて暖房に馴れたる身体縮み上がりぬ

金剛は鉛色した空の下しずく固体になって降り積む

ぬばたまの闇に点りし萬燈篭来世の道も君と辿らん

唐津なる松原のうち車停め 若き作家の焼物を買う

春浅き唐津の湾に寄せる波 ひねもす見ている旅にしあれば

気がつけば君やわらかに眠りたり 旅の疲れを「ひかり」は乗せて

これ以上 私を悲しくさせないで 風に震える真冬の風鈴

まどろみより目覚めて受けし笑み脳裏に刻み四日を勤めし

頬を打つ冷たさよりもなお憂きは君の心に寄り添えぬこと

春間近か路傍の溜まり凍れるをその頑なさを解けるまで待つ

暖かき日もあり寒き日もありぬ春先のよな君と吾なり

切なさも慣れれば常となりゆくと自らに聞かせて日々終わらせぬ

函館の青柳町こそ哀しけれ 君に寄り添うは吾にはあらず

氷点下頬刺す冷気の露天風呂湯気に朧む欠け月の影

函館の雪の明かりの街哀し初恋詠いし啄木偲ぶ

希望なき恋しさ底のなき哀しみ 君と夢見ること叶わずに

 

美ら海の碧に浄化と再生を求めて渡る旅人となる 

石垣の美ら海にある揺ぎない青にすがりて再生誓う

日輪の中緩々と友は駈るざわわと広きサトウキビ畑

多弁なる神宿りしかイリオモテ樹々からさえも諭されており

部屋からは港の夕陽が一流のホテルその名はイーストチャイナシー

小径にて迷えば揚羽現れて星砂浜へ導きていく

島にいて時のなくなる感覚がたまらなくいいまた来たくなる

砂浜に置いてきた我がネガティヴはそろそろ昇華の始まる頃か

八重山で過ごした昨日が遠ざかる大阪駅で現に返る